ループ3周目の第二王子様!─溺愛同棲ルートに連れ込んで、無表情無口令嬢を泥デロ幸せにするまで─
壁を破壊する第二王子様
ルーカスの声にレイラの胸がジンと痛んだ。レイラが石像のように動けないでいると、ゴンッと何かがドアにぶつかる音が鳴り、ルーカスの声がさらにかすれていく。
「君が何に悩んでいるのか察してやれなくてすまない。
俺は本当に愚鈍で、きっと何度も君を傷つけたんだろう。今回だけでなく、繰り返した過去でも、きっと何度も」
ドアの前で苦渋に満ちた声を出すルーカスにレイラは引き寄せられていく。ドアの前に立ったレイラは首を振った。
(ルーカス様に傷つけられたことなどありませんわ。いつも私が不甲斐なくて、ルーカス様の隣に相応しくないだけで)
レイラはルーカスを求めるようにそっとドアに手を当てた。ルーカスもドアの向こうでレイラを求めてそっとドアに手を当てる。求めあう二人を一枚の壁が隔てる。
「もしかして、日記に書いたことが気に障ったのか?君の意思を無視した内容だったから……」
(日記?)
レイラは机の上に大事に置かれている交換日記を見つめた。パーティの後、ルーカスが部屋に訪れることがパタリとなくなってしまった。交換日記は止まってしまい、あれ以来、この日記帳を開いたのはウィリアムだけ。
中身が変わっていないはずの日記にレイラは手を伸ばした。
ページをめくると、最後にレイラが書いた日からずっと、ルーカスの字が綴られていた。
『眠っているレイラへ、パーティでの君の振る舞いは見事だった。だが、身体に無理はしないで欲しい。話ができないままでも、君は君だ』
(いつの間に、ルーカス様のお返事がこんなに……!)