ループ3周目の第二王子様!─溺愛同棲ルートに連れ込んで、無表情無口令嬢を泥デロ幸せにするまで─
体重が床を打つ音と、レイラのか細い声が夜の静寂に響いた。部屋の中から響いた不穏な音にルーカスの危機感が突き抜けた。まさかレイラの身に何か起こったのではと思えば、礼儀もマナーも紳士さも吹っ飛んだ。
「レイラ?!レイラ何があった?大丈夫か?!」
ルーカスの大声と盛大な破壊音と共に、レイラの部屋のドアが内側に倒れる。
廊下にいたルーカスが、力の限りでドアを蹴破ってしまった。
ルーカスが物理で破壊したドアを乗り越えて、部屋の中でうずくまるレイラに駆け寄る。
全身を素早くくまなく観察して、レイラの身に何の外傷もないことを知ったルーカスはレイラを迷いなく抱きしめた。力強い腕に抱かれて、レイラはまた涙がこぼれる。
「ルーカス様ッ」
「レイラ、無事で良かった……!」
安堵したルーカスはレイラを抱き潰すほどの力で強く抱いた。
「また君の身に何かあったかと」
レイラも持てる力の全てでルーカスの背に細腕を回して抱き返す。
「また君を失ったりしたら、気が狂う。もう、耐えられない」
ルーカスの声に身を焼き焦がすほどの熱い気持ちがわき上がる。
もっと、抱きしめて欲しかった。
潰れて息ができなくなってもいいから、もっと強く抱いて欲しかった。
もっと、レイラをその腕に閉じ込めて欲しかった。