ループ3周目の第二王子様!─溺愛同棲ルートに連れ込んで、無表情無口令嬢を泥デロ幸せにするまで─
レイラの中にルーカスに伝えたいたくさんの想いが駆け巡る。気持ちが重すぎてまた口が開かない。
でも、それでも伝えなければと思った。死ぬ覚悟があるのだ。今更傷つくことを恐れるなんて愚かだ。もうできないことなんてありはしない。
ルーカスと王城で暮らして「伝えること」の難しさと大事さを学んだ。
ベルもアイザックの妹も、アイザック自身も、そしてルーカスも。
みんながみんな、自分の想いを伝えようとがんばっているのを知った。
レイラは話せないから伝えられないのではない。
伝えようとしなかったから、伝わらなかっただけだ。
「ルーカス様……」
ルーカスの腕が緩み、部屋の真ん中に座り込んだ二人は見つめ合う。そろそろとルーカスの腕が離れていこうとする。
レイラは離れていくのが耐えられないルーカスの腕を引き留めた。訴えるようにルーカスを見上げたレイラは、ぎゅっと手を握った。レイラに握られた手を、ルーカスは優しく握り返す。ルーカスの胸が高い鼓動を鳴らしていた。
ルーカスはレイラの言葉をいつまでも待てる。でも熱いものを訴えかける青い瞳に捕らわれて、今ばかりは、その言葉の先を早く聞きたいと焦燥が胸に満ちた。
「……ルーカス様」
言いたいことは決まっているのに、どうしても、なかなかレイラの口から言葉が出てこない。
「大丈夫。聞いてる。待つから」