ループ3周目の第二王子様!─溺愛同棲ルートに連れ込んで、無表情無口令嬢を泥デロ幸せにするまで─
レイラはルーカスにエスコートされて、廊下を歩いていた。甘ったるい二人がやってきたのはイーリス国の王女、セイディが滞在している部屋だ。
部屋の前で立ち止まったルーカスはレイラをまっすぐ見つめて優しい声を出した。
「セイディ様に紹介する」
(ルーカス様の新しい婚約者、候補の方ですわね。でも、なぜ紹介するのかしら?)
レイラが真顔のままコテンと首を横に傾げると、ルーカスが唇もぎゅっと閉じて彼女の可愛さを噛みしめる。ルーカスの理性リミッターはぶっ壊れたままだ。
廊下で堂々とレイラの頬にちゅっとキスしたルーカスが笑う。
(こ、こんなところで!)
「俺を愛してると言ってくれた君を、誰彼かまわず見せびらかしたい」
(る、ルーカス様に本気で殺されそうですわ……!)
レイラは喜びで死にそうな鉄壁の真顔でぎゅっとルーカスの小指を握った。
「俺も、愛してる」
何度でも蕩けるほど嬉しそうに笑うルーカスが、セイディの部屋の扉をノックした。
「緊張しなくていい。セイディ様は親しみやすいお方だから。挨拶だけいつも通り丁寧にしてくれれば、無理に話す必要もない」
レイラはコクンと頷いて、エスコートの手を重ね直す。いわばライバルというような立場の相手だが、レイラはルーカスが昨夜からいっぱいくれた愛で武装完璧である。
しかもさすがにウィリアムより怖い相手が来るとは思えなかった。
(ウィリアム様の詰問に耐えた私ですわ。大丈夫な気がしてきました)
ウィリアムのイビリによって鋼の心を手に入れたレイラは、堂々とセイディとの会合に臨んだ。