ループ3周目の第二王子様!─溺愛同棲ルートに連れ込んで、無表情無口令嬢を泥デロ幸せにするまで─
「え?!」
セイディは瞬きを増やして固まってしまう。
(このレイラという女、綺麗な顔してとんだ悪女ね……)
自分がルーカスの隣に収まるために、まだ10歳のルーカスの妹に嫁がせようだなんて悪魔の発想もいいところである。セイディはドン引きしていたが、ルーカスはレイラの顔を覗き込んだ。
「どうしてベルが?」
『ベル様はずっとリカルド様に恋しておられます』
「リカルドに?!」
レイラの筆談を見て、セルディはつい大きな声を出してしまった。
ベルの長年の想い人であり熱心な文通相手リカルドは、セイディの弟で、
なんとイーリス国の第三王子である。
『もう文通を重ねて3年になると聞いています』
「そんなに懇意なのか?」
ルーカスの問いにレイラがコクリと頷く。レイラはいつもベルがリカルドへ向けて楽しそうに手紙を書くのを見守ってきた。
アイザックはピンときていなかったようだが、図書館にこもり本を読み、諸外国の王族人物構成から情勢までも把握している教養高いレイラは、リカルドの正体に見当がついていた。ベルにも確認済みだ。
驚きで取り乱すセイディが声を張り上げた。
「あの無の塊のリカルドが?!」