ループ3周目の第二王子様!─溺愛同棲ルートに連れ込んで、無表情無口令嬢を泥デロ幸せにするまで─
執務室で、ルーカスが席に座るウィリアムの前に立っている。ウィリアムは紅茶を片手に書類を眺めて、満足そうに笑った。
「ベルを生贄にして、自分は意中の男と結ばれたいなんて悪魔の発想だね」
セイディが帰国した後、あっという間に何の問題もなくベルとリカルドの縁談は成立した。
無の王子と名高いリカルドが、がっつがつに率先して動いて縁談をまとめたという微笑ましい報告をウィリアムが持ち帰ったのだ。
「レイラ嬢にそんな非情な提案ができるなんて知らなかったよ」
ウィリアムにとってもベルは幼く可愛い妹である。「ご挨拶は?」の連続という可愛がり方がひねくれているので、誰にも伝わっていない。
だが、ウィリアムは彼なりに弟妹を愛している。
実のところ、リカルドがベルに一目ぼれした「美しい挨拶の所作」はウィリアム仕込みであった。
さらにレイラとルーカスが気持ちを通じ合わせたのも、ウィリアムが二人を追い込んだおかげとも言える。
ウィリアムは影から弟妹の結婚に意外と貢献していた。