ループ3周目の第二王子様!─溺愛同棲ルートに連れ込んで、無表情無口令嬢を泥デロ幸せにするまで─

(本人に危険の自覚がある方が護衛しやすいと思ったのだが、レイラは今の話をどう思っただろうか……)


チラチラとレイラの顔を伺い見ては目を逸らすルーカスは、無言無表情のレイラから全く情報を読み取れない。今の突飛な話を聞いてもレイラの口は開かないからだ。


だが、ルーカスの心配とは裏腹に、レイラの思考はすっかりお隣暮らしへの期待が膨らんでいた。


(お隣暮らしのご依頼だなんて、天からの贈り物過ぎますわ)


だが、さすがにこれだけはどうしても疑問が残る。


(……ですが、婚約破棄は)


レイラは話せないのではない。発言するために、脳内の発言エネルギーを大量消費することが必要なのだ。


レイラは一日一文を生成するのが精一杯の特別に燃費が悪い体質である。


だが、これをどうしても聞かなければいけない。


レイラは今日一日分の発言エネルギーの全てをかけて、一文を生成する。


『ルーカス様は婚約破棄をしたがっていたはずなのに、なぜ今さら隣の部屋に招いて花嫁修業させてくれるのですか。嬉しくて息を忘れそうなんですけど本当にいいのでしょうか』


の意味を込めて今日全力を注いだ一文を生成した。聞いてください。



「……婚約破棄は、いいのでしょうか」



あの長文の意味がこの素っ気ないこの一文に集約される。


これがレイラの破滅的な言語能力である。

燃費は悪いは、アウトプットの質も底辺だ。



「婚約破棄?!」

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