ループ3周目の第二王子様!─溺愛同棲ルートに連れ込んで、無表情無口令嬢を泥デロ幸せにするまで─

レイラは真っ赤になってしまった!と本人だけは思っている無表情を上げて、コクリと一つ頷いた。


レイラの意思疎通のための持ち武器は、4つ。

頷く、首を振る、泣く、見つめる(睨む)だけだ。


話すという高等技術はほぼ使えない。話そうとすると、膨大な量の脳内エネルギーが必要なのだ。レイラにとって話すのは必殺技で、一日一度だ。


頷く返事をもらえてホッとしたルーカスはレイラの隣に腰を下ろす。


二人でソファに並んで座って、10分、30分、1時間と時間が過ぎていく。


(ルーカス様とお部屋で二人きり!しかも夜、隣に座ってるだなんて信じられないわ!)

(レイラの隣に座って、薄い服、寝る前のこんな時間にこんなに側にいたことが今まであったか?!いや、ない!3回目にして初めてだ!)

(でもルーカス様は私の隣にいるのは限界だっておっしゃったのだから、きっと義務で座ってくださっているのね)

(でもレイラは婚約破棄したい男の隣で気持ち悪くないだろうか。無理にここで暮らすように押し通してしまったが、レイラはどう思っている?)

((わからない。でも、とりあえず今、最高))


二人の脳内は多忙を極めているので、あっという間に無言で時間が過ぎてしまう。


5年間のお茶会も、こうやって大体脳内爆発だけで時間が過ぎていた。通じ合ってはいないのだが、互いに単体で幸せではあったのだ。

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