ループ3周目の第二王子様!─溺愛同棲ルートに連れ込んで、無表情無口令嬢を泥デロ幸せにするまで─
そう言えたなら、レイラとルーカスの間柄はもう少しマシになっていただろう。
図書館にある恋愛小説の棚を端から端まで制覇したことのあるレイラは性知識は豊富であった。俗な言葉も習得済みだ。
だが、こんなに脳内は騒がしいレイラを外から見れば、停止したままの綺麗過ぎる人形である。
(どっちですのルーカス様!私はぜひにお願いしたいですわ!)
(断じて下心などない。レイラの安全のため、そして護衛騎士には譲れない役だからだ)
それぞれ主張はあるのだが、真顔無口令嬢と不器用殿下の意思疎通レベルでは伝わり合いようもない。
「……とにかく俺はここで寝るから」
(やっぱり寝ますの?!)
(護衛として)
護衛として、を説明したつもりでまるで口に出ていないルーカスが場を炎上させている。だが、燃え盛っているレイラの心情にまるで気づかないポンコツだ。
神の愛し子だとしか思えなほど精巧な美である無表情のレイラは、ルーカスに出て行けとも、どうして?とも、厭らしい!とも言わない。レイラの肩を優しく押して、ルーカスは彼女をベッドに座らせた。
「安心して寝るといい」
(どこに安心の要素がありましたの?!一つも見つかりませんわ!)