ループ3周目の第二王子様!─溺愛同棲ルートに連れ込んで、無表情無口令嬢を泥デロ幸せにするまで─
レイラはルーカスから今話題に出したかった小説について聞かれて跳び上がりたい気持ちだった。
期待を込めた目でルーカスを見つめたつもりだが、レイラの取ったコミュニケーション選択肢は「睨む」であった。
(やはり聞くべきではなかったか)
ルーカスはそっと目を逸らして自分の愚行を恥じた。美しい青い瞳で睨まれてしまった。聞いて欲しくなかったのだろう。
でも破滅をもたらすほどの美顔と一瞬目が合って胃がキュッとなった。
レイラはルーカスが話題を振ってくれてから、頭の中でありとあらゆる言葉を並べ立てて返事を考えた。
5分後、レイラの重い重い口が開いた。一日分の発言エネルギー全消費の気合入った一文だ。
『この推理小説がとても面白かったので、舞台を見に行きたいのです。一緒に行きたいなどと無謀なことは言いません。明日、劇場に出かけてきてもよろしいでしょうか』の意を詰め込んだ。聞いてください。
「外に行きたいのです」
「外?」
ルーカスは突然のレイラの申し出にきょとんと首を傾げた。
「かまわないが」
(やりましたわぁあ!やっぱりルーカス様は大海のように心がお広いわ!)
レイラは両手を持ち上げて腰をふりふり、お尻ふりふりして待望の許可を得た喜びを全開で表現した。なお、脳内のみの表現だ。
「外は寒いぞ?いいのか?」