ループ3周目の第二王子様!─溺愛同棲ルートに連れ込んで、無表情無口令嬢を泥デロ幸せにするまで─
侍女が頷いた瞬間にルーカスは、外へ飛び出した。馬屋へ一目散だ。馬車など待ってられない。
「馬を貸せ!」
「殿下?!待ってください!」
厩番の引き止める声も聞かずに、ルーカスは慌てて馬を駆った。ルーカスは昨日のレイラの一言を思い出していた。
『外に行きたいのです』
(まさか外に行きたいって観劇に行きたいと、そういう意味だったのか?!)
珍しいレイラの要望にすぐに応えたつもりだったが、ルーカスがやったことは全く斜め上だったようだ。
今更気づく。あの時、勘違いしたルーカスが「かまわない」と言ったために、こんな事態に陥っている。
(くそっ!レイラが話したのに!俺はなんて愚鈍なんだ!)
レイラの壊滅的な言語能力を生真面目なルーカスは、絶対に責めない。ルーカスの過失なのだ。
ルーカスの頭の中に最悪のシナリオが出来上がっていた。
今日は劇場で爆発事件が起こる日だ。そんな危ない場所にレイラが行ってしまった。
(まさか、こんな形でまた君を失うのか?!)
ルーカスは必死で馬を駆る。もう爆破時刻だ。