ループ3周目の第二王子様!─溺愛同棲ルートに連れ込んで、無表情無口令嬢を泥デロ幸せにするまで─
アイザックにすっかり機嫌を直されたレイラであった。
帰り道に、馬車の窓から外を眺めていたアイザックがにやりと笑った。
「あ、やっぱりなんかありましたね」
レイラも気になって窓の外を見ると、先ほどまでレイラがいた劇場から黒い煙が上がっていた。
「火事ですかね?」
アイザックの声を素通りして、レイラの目は劇場の側で彼を発見した。
(ルーカス様があそこに!)
劇場の周りを囲む警備隊に食って掛かっているルーカスがそこにいた。ルーカスは警備隊に襲われているように見える。
(一体何事ですの?!第二王子に暴行だなんて!)
いきなり馬車のドアを開けようとするレイラの手をアイザックが掴む。
「危ないですよ、レイラ様」
(邪魔ですわ!)
レイラはアイザックの手を振り払って、またドアを開けようとした。
呆れたアイザックが御者に止めるように言うと、レイラはドアを開けて馬車から飛び降りた。普段、完璧な貴族の振舞いをみせるレイラからは考えられない行動だった。
「レイラ様、やるぅ」
レイラがドレスを翻して慌てて走っていく。口笛を吹いたアイザックはレイラの後ろをぴったり追いかけた。