ループ3周目の第二王子様!─溺愛同棲ルートに連れ込んで、無表情無口令嬢を泥デロ幸せにするまで─
ルーカスの深い紫色の瞳がとレイラの青色の瞳が絡み合うと、レイラは息が苦しかった。何の感情もないレイラの顔を見つめるルーカスがそっと羽ペンをレイラに差し出す。
レイラが書く番だ。
レイラが考えに考えたことを表に出せるのはほんの一部だ。
だが、口を開くよりも書く方が幾分かマシな結果を出すことを、この日二人は知ることになる。
『推理小説にハマって久しいのです。犯人探しは得意かもしれませんわ』
ルーカスはレイラのお茶目な返事に、フッと声を出して顔を緩ませた。
(極寒の風に吹かれていないのに、笑顔を頂いてしまいましたわ!)
口を横に広げて眉を下げて柔和に笑う彼を見て、レイラは想いが通じた喜びをかみしめた。
『よろしく、名探偵レイラ』
『お任せください』
二人の意思疎通が初めてきちんと成立した瞬間であった。
真顔のレイラと、ホッと安堵に微笑む第二王子が筆談で会話を交わした奇跡の瞬間を、ある熱視線が貫いていた。