ループ3周目の第二王子様!─溺愛同棲ルートに連れ込んで、無表情無口令嬢を泥デロ幸せにするまで─
「お嬢様、悪く思うなよ?これは崇高なお仕事なんだ」
顔は見えないおじさんの声は人の家に入り込んだにしては余裕綽々で、誇らしげだ。手慣れているのが伝わってくる。
(きっと誰も助けには来ないわね)
パーティから帰り、一人になりたくて侍女たちを部屋から遠ざけた。それが、こんな裏目に出るなんて思わなかった。
きっとレイラの危機なんて今誰にも伝わっていない。レイラは淡々と考えた。
「ワーとかキャーとか騒がねぇのか?
言わなきゃ、わかんないんだぜ?」
レイラがあまりに真顔でシンとしているので強盗の方が首を傾げる。
「まあお嬢様が綺麗で大人しいから、後で特別に可愛がってやるよ」
レイラは年中どんな時でも静かである。
頭の中で色々考えているのだが、それが全く口に繋がらない究極の口下手。
なぜ話さないと聞かれてもわからない。どうにも口が動かないからとしか言えない体質だ。
口と表情筋を忘れて生まれてきたと、両親が太鼓判を押すほどの
無表情。無言が基本である。
嬉しくても、哀しくても、このまま強盗に殺されても、真顔で死ぬだろう。
強盗は従順なレイラの手足を縛って、部屋を物色し始めた。