ループ3周目の第二王子様!─溺愛同棲ルートに連れ込んで、無表情無口令嬢を泥デロ幸せにするまで─
「こ、こら静かにしろ!ここは図書館だぞ!」
間髪入れずに大声で叫んだベルに図書館中の視線が集まり、ルーカスは居心地が悪く眉をしかめた。だが、ルーカスは妹の首根っこを離したりはしなかった。
この妹は昔からお堅い兄を陥れて美味しく逃げる狡賢いところがあるのだ。自分がとても愛らしいことをよく知っている。
「来なさいベル、無駄な抵抗はやめろ」
「キャアア!変態兄に犯されるぅう!」
「お騒がせしてすみませーん!ただの兄妹ゲンカでーす!」
あまりに外聞がよくないので、アイザックがさらっと図書館中に響き渡る大声でフォローに入る。イラっとはするが、堅物なルーカスの片腕としてはコミュ強アイザックは相性がいい。
(何かあったのかしら?)
あまりの騒ぎは図書館の外にまで響き渡っており、帰りかけたレイラの耳にも届いたのだった。
レイラが後戻りして図書館をチラッと覗くと、ルーカスが少女の首根っこを掴み上げている現場だった。
(お仕事中のルーカス様!凛々しいですわ!)
お仕事中のルーカスが少女にも容赦ないところは、レイラ的には高評価である。愚直な彼は誰に対しても公平な態度が魅力なのだ。