ループ3周目の第二王子様!─溺愛同棲ルートに連れ込んで、無表情無口令嬢を泥デロ幸せにするまで─
年中静かなレイラは静かに話を聞いていたが、お姉様がどこにも見当たらなかった。ルーカスもレイラも同じ方向にこてんと首を傾げる。ベルはスカートの裾をぎゅっと握りしめて俯いた。
ため息をつくのは壁際で待機中の護衛騎士アイザックだ。ここにいる誰もが意思疎通術弱者で疲れてくる。ベルはまだ幼いだけだが。アイザックがあまりに見ていられずに通訳した。
「お姉様はレイラ様のことでしょ。ずっと前から仲良くなりたかったのに、ルーカス様が紹介してくれなかったから自分で手紙出して近づくしかなかったって聞こえましたよ」
(え、アイザックは天才?)
「俺には全く話が見えなかったが、そうなのか?ベル」
レイラとルーカスにマジ?と強烈な視線をもらったアイザックは肩を竦める。
高貴な皆様、もうちょっとコミュ力上げようね。
ベルがスカートがくちゃくちゃになるまで握り締めた手を見つめて下を向いたまま、小さく頷いた。
「お姉様と……お話したかったのです」