ループ3周目の第二王子様!─溺愛同棲ルートに連れ込んで、無表情無口令嬢を泥デロ幸せにするまで─
顔を上げてぶわっと泣き始めたベルにレイラは釘付けだった。
(なんてお可愛らしい!!こんな私と仲良くなりたかっただなんてそんな方がこの世にいただなんて!
しかも、それが!
ルーカス様の妹君でいらっしゃる!お顔もルーカス様に似ていて、聡明でお可愛らしいベル様が?!私と!!)
レイラはぼろぼろ泣いているベルが可愛くてたまらなくなった。だが、この妹が生まれた時から兄であるルーカスは怯まない。
妹の涙なんて出し入れ可能な道具である。
レイラ以外の涙なんてただの水だ。
「泣いても無駄だ。お前の罪は消えない。今後一切、レイラに近づくことは禁止する。以上だ。帰りなさい」
「そ、そんなぁ……」
ベルは負けが確体したことを知って、涙を引っ込めて頭の固い兄にブチ切れる。
「お兄様の馬鹿!5年もお姉様の婚約者やってて全然仲良くなれてない愚鈍のくせに!」
泣き落としから、すぐに作戦変更して食いかかる行動判断が速かった。しかも容赦ない。
「全然相手にされてないって!
無理やり抱いてるって噂、聞いてるんだから!
この宝の持ち腐れ野郎!」
王女らしからぬ口の悪さと切れ味の良さで、ベルは兄の純情を真っ二つにしてしまった。
ルーカスがわなわな震える手を握り締める。