ループ3周目の第二王子様!─溺愛同棲ルートに連れ込んで、無表情無口令嬢を泥デロ幸せにするまで─
「お!お前、レイラの前でなんて口の利き方!無理になんてしてるわけないだろ!」
「嘘つき!毎晩通ってるくせにこのムッツリ!」
「口を慎め!」
ギャンギャン吠えるベルが両手をくるくるパンチしてしくるのを、ルーカスは片手で額を押さえて防ぐ。バカバカとまた泣き始めたベルと眉をひそめたルーカスの兄妹喧嘩に、レイラだけが真顔でほっこりしていた。
(こんな尊いものをこんな間近で見れるなんて、最高ですわ。
ルーカス様が妹君に砕けた態度を取られるのも新鮮で、ベル様が……ああ私と仲良くなりたいだなんて)
レイラが胸に手をあてて感慨にふけっている横で、アイザックはこの終わりの見えない虚無空間にうんざりしていた。
次に動き出すのはレイラの番なのだがわかっているのだろうか。こういう機微がわからないから皆うまくいかないんだよ。
アイザックはレイラの肩をポンと叩いて耳元で語り掛けた。
「レイラ様、ベル様を助けてあげたらどうですか?このままだとルーカス様がベル様を謹慎処分にしますよ」
(え?兄妹ケンカが、なぜそんな大事に?)
「別に嫌じゃなかったんですよね?手紙」