ループ3周目の第二王子様!─溺愛同棲ルートに連れ込んで、無表情無口令嬢を泥デロ幸せにするまで─
レイラを先に部屋から出したベルは、ドアが閉まる間際の隙間からニヤリと勝ち誇った笑みを見せた。
バタンとドアが閉まり、ルーカスは呆気に取られていた。
「一体どうなった?」
「ベル様の方が一枚上手でしたね。ルーカス様がもたもたしてるから、レイラ様を掻っ攫われましたよ?」
アイザックは言い捨てて、二人の後を追った。アイザックの仕事はレイラの追尾護衛である。
ルーカスも慌てて後を追って叫んだ。
「こらベル!レイラは俺の婚約者だ!
王城に越してきてから、まだ俺とディナーしてないんだぞ!」
「あんな情けないお兄様なんかやめて、私と結婚しませんこと?レイラ様」
ベルはレイラの手をエスコートしつつ愛らしい笑顔でレイラを誘った。レイラは幼い妹の求婚ごっこにきゅんとしてしまう。
「どうしてお前が先にディナーをするんだ!
俺も入れなさい!
入れろ!
入れてください!」
廊下でベルの背中に大声で放ったルーカスの憐れな台詞は、侍女たちの速い情報網によりあっという間に王城内に伝播した。
第二王子、婚約者にディナーも共にしてもらえていない。なのに、毎夜部屋に通ってるなんて……と城中の者の頭を抱えさせたのだった。