ループ3周目の第二王子様!─溺愛同棲ルートに連れ込んで、無表情無口令嬢を泥デロ幸せにするまで─
ベルが手を止めて、エヘンと胸を張る。アイザックの遠回しな表現がベルのおしゃべり好きにバッチリ刺さった。
エグみありましたよね、なんてバカな聞き方はしない。ルーカスならやるだろうが。
「リカルド様は私と年が近いけれど、レイラ様は大人でしょう?小説を読んで、表現を大人っぽくするようにしたのよ!」
(相手に合わせて会話の内容を変えるなんて、気遣いの手練れでいらっしゃるわ!)
ベルに刺激を受けて向上心が高まるレイラだが、アイザックは乾いた笑顔を貼り付けた。
(変な偏愛小説でも齧り読んだんだろうな。君を食べたいくらい好きだ、みたいな)
アイザックの察し力はこれ以上ないほどの熟練度であった。レイラの護衛をつかさどるアイザックは、ベルがレイラにエグみのある手紙を送るだけであれば放っておいた。
だが、纏わりつき始めたので少々危険視したのだ。子どもでも毒を盛るくらいはできる。
(純粋に好きな人に似てるお姉様と遊びたかっただけ、で問題ないな。俺の子守り対象が増えただけ)
ベルの行動に全て辻褄があったので、アイザックは安心できた。ベルがレイラに危険を及ぼす人物ではないと判断したのだった。