恋は千年、愛は万年。
さて、ここで僕の秘密について種明かしをしよう。
もうお気づきかもしれないけれど、僕は人ではない。
性別は、一応女なんだけど、男の格好をして生きている。
名前のアキは、人間界の日本に降りたとき、紅葉が綺麗な季節だったから、その季節の名前を借りた。
僕は1000年前、訳あって神であった僕は、同じく神であり、天界を統べる父によって、地上に降ろされた。
別に罪とか罰ではない。
父が言う条件を達成したら僕の望みを叶えると契約を交わしたのだ。
僕の望みは唯一つ。
僕は、ずっと人間になりかった。
人間になるのは決して簡単ではなく、神であろうと安々できるものではない。
しかし、父はあらゆる神々の中で最高の地位に立つ故に、神さえも人に変えるほどの能力を持っている。
そんな父が出した条件は、人ならざるものである僕が、人に決して正体を見破られぬように1000年の時を生きることだった。
複数の能力持ちだし、不老不死だし、隠すの無理じゃない?と思いはしたものの。
1000年間もし生きられたら、その時お父様は僕の願いを聞いてくれると言ったからやるしかなかった。
父さんはアノコトから僕が人間になるのは断固反対だからね。
条件を達成するしか方法はない。
え?何故、わざわざ神が人間になりたいと言うのか?
まぁ、普通に考えて、全知全能の存在の方が人間よりも良いって思うよね。
でも、僕は人の不自由さに惹かれてしまったんだ。
え?その惹かれた理由が知りたいって…?
それはね、長くなるからまた今度。
とにかく1000年を生きなければならなかった僕は、あと数年にまで何とか生き延びることができた。
ようやく、苦労が報われる。
時代を変遷し、全国を巡って、色々な人に出会って、今に至る。
そして、最初に降りたった京都が果の棲家だと決めていたのだ。
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