恋は千年、愛は万年。
そして、僕は近藤さんと言う壬生浪士組で一番偉いらしい局長と対面することになった。
「おぉ、とても別嬪さんだな!
名前は何というのだ?」
近藤さんはガタイがいいけど、とても穏やかそうな叔父さんだった。
ニコニコと人を和ませる笑みに、自然と僕も笑顔になる。
うーん、今別嬪っていったけど、僕が女って気づかれてないよね?
一応髪も結んでいるし、男らしく袴も着ているんだけどなぁ?
確かに、体つきは華奢だし、間違われてもおかしくはないんだけど…トホホ。
一瞬そんな不安が掠めたが気にしないことにした。
『アキと申します。
よろしくお願いいたします』
トシくんとソウ君に見守られ、僕は一礼した。
きっと近藤は良い人なんだろうなぁ。
「トシや総司とは知り合いなのか?」
僕をジッと見やるトシくんやソウ君にチラリと目を向けた近藤さんに僕は『あー』と言葉を選ぶ。
『十年程前にトシくんの家に居候させてもらっていたんです』
僕が無理矢理に、という事実は伏せた。
「トシの?!それは、縁があるものだなぁ」
トシくんと名前呼びしたら、かなり驚いた顔をされた。
縁かぁ、確かにそうとも言える。
十年振りに京都に来て直ぐに再会したし。
もっと的確に言えば、腐れ縁かな?
まぁ、ついさっきまで居候していたこと忘れてたんだけどね、僕。
会話が進み、最終的に近藤さんは僕が壬生浪士組で世話係として働くことを認めてくれた。
「お披露目にでも行くとしようか」
ニコニコ笑顔で膝を叩き、立ち上がる近藤さん。
お披露目??
『え?何のですか?』
「アンタのだよ」
即答するトシくんに僕の頬は引き攣った。
ええぇ、そこはお披露目じゃなくて紹介って言って欲しいんだけど…。
お披露目とか、そんな大体的にするほどの身分じゃないし。
何より仰々しいのは苦手だ。
「いやぁ、アキ君は本当に美人だからな。
風紀も徹底しないとな、トシ」
「まぁ、手は出させないがな」
「不届き者は私が叩き斬りますよ」
怖い会話をしている3人(主にトシくん、ソウ君)に僕は聞こえない振りに徹したガクガク。
てか、近藤さん僕のこと君づけしてくれてる。
女だとバレてないことに内心ホッとした。