恋は千年、愛は万年。
夕餉の時、広間に集められた隊士全員の前で自己紹介をすることになった。
お腹が空いているだろうに、食膳を目の前にしてお預けさせてしまうのは何だか申し訳ない。
食事前にごめんね、時間は取らないから。
近藤さんではなく、副長のトシくんが場を仕切り、話しだした。
「てめぇら、よく聞け。
今日から下働きを務めるヤツを紹介する」
あー、なんかめっちゃ視線が集中してるぅ。
そんなに見られたら穴が空いちゃいそう。
トシくん達は座ってるし、棒立ちしているのは僕だけ。
早く済ませなきゃ。
僕はパッと笑顔を見せると、手短に挨拶をする。
「アキと申します!
家事を務めさせていただくのでよろしくお願いします!」
ペコリと軽く頭を下げて顔を上げたら。
「「「うぉおお!かわええぇ!」」」
何故か(複数人以外の)隊士達から雄叫びが返ってきた。
可愛い…!?
「くれぐれも手ぇだすなよ。
男色共」
「「ええぇ、男なんですか!?」」
一斉に男達の視線がトシくんに向き、再度此方に向けられた。
『ニコッ』
会話の内容は掴めなかったがとりあえず僕は微笑んでおいた。
「コイツに手ぇ出した奴は総司に(地獄の)剣指南をさせるからな」
悪い笑みを浮かべ言い放った土方さんの一言で広間は水を打ったかのように静まり返った。
え、何この沈黙…?
先程まで目を輝かせていたのが嘘みたいに、隊士達は皆顔を真っ青にして身を震わせている。
剣の指南ってそんな恐ろしいものだっけ?
僕の中で剣の指南における概念を覆された瞬間だった。
「やだなぁ、土方さん。
私の指南を餌食みたいに言わないでくださいよ」
ソウ君は笑顔だったけど、終始目が笑っていなかったブルブル。