恋は千年、愛は万年。
変に静まり返った空間に明るい声が響く。
「はいはい、質問!
アキ君は小姓になるの?」
門のところにいた三人組の内の一番背が低い男の子が聞いてきた。
よく見てみると、女顔負けの可愛さをもっている。
『…こ、しょう??』
知らない言葉に首を傾げる。
「えっと、特定の人につく世話係みたいなものだよ」
『え、トシく…、副長さん、どうなんですか?』
トシくんって呼ぼうか迷って言えなかった。
おまけに敬語まで遣ってしまった。
副長らしいし、世話係が偉そうかな…なんて。
変に関係を勘くぐられるのも嫌だし。
トシくんと言いかけてやめた僕に、トシくんは眉をひそめていった。
「副長呼びやめろ、それに普段通りでいい。
お前は、そうだな…俺の小姓になれ」
トシくんの世話係?えー、大変そう。
トシくん寝起き悪いし、直ぐ僕のことを小間使いみたいに扱ってきそうだし。
「えー、何言ってるんですか土方さん。
アキさんには私についてもらいたいです」
ここぞとばかりにソウ君が名乗り挙げた。
え、何故そこで張り合う?!
「ズルい!僕もアキさんについてもらいたい!!」
質問をしてきた子までしゃしゃり出てきた。
いや君は誰なの?!
ギャーギャーと騒ぎ始める人達に、僕は困った顔をした。
何でそんなに熱い論争をしているんだろう。
そして、ご飯を取り上げられる他の隊士達が可哀想だった。
せめて、ご飯食べ始めましょうよ。
「皆、とりあえず夕餉を食べないか?
時間は有限ではないからな」
まさに鶴の一声。
朗らかに笑う近藤さんの一言で広間は静かになった。
「…っ、近藤さん。
そうだな、改めて後で話し合おう」
トシくんはバツが悪い顔をした後、夕餉を食べるよう指示を出した。