恋は千年、愛は万年。
「アキ…っ!」
『ん?あれ、トシくん?』
僕の反応が面白いからなのか、からかってくる芹沢さんに噛み付いていたら、トシくんが現れた。
さっきまで近藤さん側の隊士もいたけど、どこかへ行ってしまっていて芹沢さんと二人きり状態になっていたところを発見された。
あれ?トシくん、いつもならこの時間は自室で職務を全うしているはずなのに。
僕を探してたのかな?何用だろうか?
「…芹沢さん、アキに何か御用ですか?」
トシくんは棘を孕んだ口調を隠すことなく芹沢さんに向けた。
「何、そう案ずるでない。
誰もそう、取って食いやせんわ」
ヒリついた緊迫感をまとうトシくんに、芹沢さんは挑発的な笑みを返した。
あのトシくんでさえからかう対象なんだな…と僕はある意味感心していた。
トシくんは僕を背に隠すと「今の内に逃げろ」と囁いた。
その言葉に僕はキョトンとして、言った。
『まだ僕、芹沢と話終わってないよ?』
「はぁ!?何の話をしてたんだ、てめぇ」
鬼みたいな形相で凄まれて、一瞬言葉を失う。
何の話って…。
『料理作れって命令された話』
「命令はしとらん、頼んだんだ」
シレッとと何か言ってる芹沢さんに僕は頬を膨らませた。
バッとトシくんの後ろから顔を出して反抗する。
『それ、脅しの間違いですよ!』
「貴様が“良い”と言ったんだろう」
『言わざるを得ないから言っただけです!』