恋は千年、愛は万年。




芹沢さんと対等に言い合う僕に、挟まれたトシくんは頭を抱えだした。

芹沢さんって、こんな人だったんだなぁ。

予想を裏切る捻くれ者だ。

まぁ、理由も無く殴るような人ではなくて良かった。

たとえ、殴られたとしても、その分僕は倍にしてやり返すけどね。


「忘れず儂等の分も作るんだぞ、アキ」


何故頼んでおきながら偉そうなんだ、この人は。

一人だけ練り辛子でも入れてやろうかな?

まぁ、やったら首ちょん切られそうだからしないけど!

死ななくても斬首は痛いものなので。


『はーい』


適当に返事をしたら、呆れた顔をする芹沢さん。

まさか、貴方に呆れられる日が来るとは思わなかったなぁ。

僕がやるべき反応ですよ、それは!!


「…全く、3歩歩いたら忘れそうな返事をしおって」

『誰が鶏ですか!!』

「ガハハ、貴様に決まっとろう」


ムキになる僕を背にし、芹沢さんは笑いながら去っていった。

あぁもう、ムカつくぅ!

人を物忘れの酷い生き物みたいに言うなんて!

地団駄を踏んでいたら、暫く黙っていたトシくんにいきなり頭を叩かれた。


『痛い!』


容赦のない攻撃に涙目になってトシくんを見上げると。


「今から説教だ、アキ」


鬼の権化ことトシくんと目が合いましたとさチャンチャン。


その後、トシくんの部屋で正座させられ、ソウ君が顔を出すまで二刻ほど説教をされ、反省を強いられた僕だった。


責任全然取れてないよ芹沢さぁあん…!!


芹沢さんが勝手に絡んできたのに…と内心思いながらも、トシくんの怒りを増長されることを予期して口にすることはなかった。




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