恋は千年、愛は万年。



芹沢さん達にもご飯を作るようになり、僕の仕事はカサ増しした。

料理を作ること自体は良くても、数が多いんだよね…。


切実に分身がほしい。

一体だけでもいいからぁあ!!(泣)


あんな命令なんて迷わず断れば良かった、と後悔したが、今更遅い。


外で大量の洗濯物を干していたら、後ろから芹沢さんの声が聞こえた。


「アキ、飯美味かったぞ」  


振り返れば、珍しくご機嫌な芹沢さんの姿があった。


今は昼下りで、隊士の殆どは剣の稽古中だから辺りに人はいない。

あーあ、トシくんに二人きりになるなって言われたのにな。

早速約束破っちゃった。


…って、あれ、芹沢さん、今日は島原へ行ってないんだ?

いつもなら昼間でも構わず酒に溺れて暴れているのに変なの。

“本来”の流れと若干違うような…。


まぁ、深く考えるのは止そう。


芹沢さんは、ハタハタと揺れる洗濯物の間を縫って僕の近くまで寄ってきた。


料理への褒め言葉は嬉しいけれど。


美味しかったですか、そうですか。

おかげで僕は大忙しで大変なんだけどな!?




< 35 / 82 >

この作品をシェア

pagetop