恋は千年、愛は万年。
目の前に広がる白や桃色の景色に思わず感嘆する。
『うわぁっ、桜きれーい!!』
ソウ君と一さんとやってきたのは、壬生浪士組の屯所近くにある、満開の桜並木だった。
天気がとても良いから、桜と青空の対称が殊更美しい。
絶景ってこのことを言うんだよね!
屯所にある桜の木も綺麗だけど、ここはここで綺麗だなぁ。
辺りには、花見に来ている人達が沢山いて、とても賑わっている。
舞い散る花弁を追いかけるように、クルクル回りながら歩いていたら、ソウ君に首根っこを捕獲された。
「迷子になったらどうするんですか、大人しくして下さい」
焦り顔のソウ君を見上げ、僕はエヘヘと頬を掻く。
『えー、だって綺麗なんだもん』
どっちが年上だが分からない会話だなぁ。
でも、ソウ君さぁ。
僕が迷子だなんて、子供じゃないんだしならないよ。
そんなやり取りする僕達には、周りから温かい視線が送られていたらしい。
「手を引こうか?」
一さんの提案に僕は唇を尖らせる。
『えーっ?子供じゃないよ、僕』
皆僕を子供扱いしちゃってさ!
僕はトシくんよりも年長なんだよプンプン。
手綱じゃあるまいし!と憤慨する僕に、一さんは冷静な口調で窘める。
「なら大人しくしておけ」
『…う、はぁい』
僕って、本当に精神年齢低いな。
一さんの方が大人みたいじゃないか。
あっという間に言い包められてしまった。
僕は、仕方なくソウ君と一さんの隣に並んで、勝手な行動を控えた。