恋は千年、愛は万年。



季節は移り変わり、6月を間近にしていた。


今は文久三年。

その6月といえば、隊士を集めに大阪へ赴き、その際、芹沢さんが力士を斬り殺してしまう大事件が起こる。

今のところ、間違いなく発生するその事件。

僕は今のところ居残り確定だから全く関係ないけれど。

まぁ、トシくん達は苦労して帰ってくるんだろうなぁ。



順調に大阪へ行く準備が始まる最中。


「アキ、数日留守にするがくれぐれも勝手に外へ出ていくなよ」


全く、人を猫みたいに言っちゃってさ。


『はいはい、分かってるって』


心配性なトシくんに、耳がたこになっちゃうくらい散々注意喚起をされて、僕はゲンナリしていた。

トシくんの話は長いんだよね…。

最初は根気強くウンウンと相槌を打っていたものの、半刻もすれば筒流すことだけに徹していた。

そんなホイホイ旅に出ないって…多分。


すると、ドンッと音がして視界からトシくんが消える。


「お土産何がいいですか?」


副長であるトシくんを押し退けて、僕へ質問をしてくるソウ君に苦笑する。

あのねぇ、遠足じゃないんだから。


『お話だけでいいよ』


物なんて貰ってもどうしようもないし。

大阪で何が起こるかは知っているけれど、ソウ君はソウ君の感じ方がある訳だし、土産話でもくれたら嬉しい。




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