恋は千年、愛は万年。
疑われることに慣れている僕は、白々しくも首を傾げる。
最早何処に行っても疑われるんだけど、
僕ってやっぱり怪しいのかな??
まぁ、そんな悲しい事実は気にしない気にしない。
それに、嘘って堂々としていたら、案外バレないもんだよね。
『何者…って?』
「私の目は欺けませんよ。
あなた…女、ですよね?」
山南さんの目が僕を射抜く。
予想外の展開に、僕の笑顔は固まった。
…わぁ、バレた。
こんなに早くバレたの初めてかも。
山南さん、鋭すぎぃ!
あーぁ、秘密主義が崩れてく…。
僕が女だという事実は別にバレても構わないから、バラすかぁ。
山南さんには、これ以上の誤魔化しは通じなさそうだし。
『よく分かりましたね』
変装は僕の十八番なのに。
しかし見破られてしまったのなら、潔く負けを認めようぞ。
山南さんは気まずそうに僕から目をそらして呟く。
「…私は女性が苦手なので」
面と向かって苦手というのは憚られたのだろう。
良い人だなぁ、と思う。
僕の場合、好き嫌いは割とズバッと言っちゃうからなぁ。
『勘で分かったんですか?』
「………まぁ」
そんなことってあるの?!
何だその能力、ある意味凄い。
でも、僕の変装に問題は無かったなら、他の人にバレる心配はないか。
山南さん、女性苦手なんだなぁ。
僕に対してだけ反応が鈍いから、嫌われているのかと思ってたけれど。
謎が解けて胸がスッキリした。