恋は千年、愛は万年。
其の七
結局話し合いの末に、山南さん達は僕が女であることは未だ報告しないと言ってくれた。
理由は分からないけれど、様子見ってことかな?
別にそれくらいの秘密は言っても構わないけれど。
…まぁ、言った後が面倒臭そうだから良いや。
「「「只今帰りました!」」」
『おかえりなさぁい』
山南さんや山崎さんと話した数日後、大阪へ言っていた近藤さん達が帰還した。
僕は急ぎ足で玄関口へ向かうと、皆を出迎えた。
「ただいま、アキ君」
『近藤さん、おかえりなさい』
少し疲れた顔をして笑う近藤さんに、僕はお疲れ様の意味を精一杯込めて返した。
すると、僕の近くにバッと数人が群がる。
「アキー、俺には?俺には?」
『おかえり、藤堂さん』
「俺にもくれ!」
『おかえり、永倉さん』
二人が迫ってくるのは予想できたけど。
藤堂さんと永倉さんの勢いが凄くて、身体を引く。
行きも帰りも大変だっただろうに、元気あるなぁ。
「…俺にも」
『わ、一さん、おかえり』
一さんもヒッソリと二人の側にいて、驚いた。
え、何、皆そんなに僕の“おかえり”が聞きたいの?
「おい、テメェら退け。
後ろが支えてんだよ」
トシくんの不機嫌な声に、3人はそそくさと中へ上がっていった。
3人が去ると、疲れ切った顔をしているトシくんの顔が現れた。