恋は千年、愛は万年。
『島原…って、確か遊郭だよね』
まぁ、ここは男所帯だし、疲れを癒やしに行くなら、妥当の場所だ。
そして、遊郭とは。
綺羅びやかな飾りをつけ、
美しい着物を身に纏う、
綺麗な美女がわんさか居て、
歌に踊りに酌までしてくれる夢の場所。
しかし、僕は十年前に京都で過ごした記憶を思い出して、僅かに頬を引きつらせた。
色々あったなぁ、あそこでも。
でも、なぁんだ、遊郭へ打ち上げにでも行くってことね。
僕のご飯が嫌になったとかじゃなくて良かった。
もしそうだったら問答無用で飛び出していくところだったよ。
『行ってらっしゃい』
勿論、僕は行かないけどね。
只の小姓だし、何もしてないし。
ヒラヒラと手を振って、見送る体制でいたら。
トシくんにガッと腕を掴まれた。
「何言ってんだ、アンタも行くに決まってんだろ」
何故!??
『ええぇー!?』
トシくんの不敵な笑みに、逃げることは不可能だと察知した。
僕は、ガックリと肩を落とす。
「アキさんも行くんですか?」
意気消沈していると、何時の間にか玄関に戻ってきていたソウ君に話しかけられる。
『…命令だからね』
そう答えたら、ソウ君は他人事のように「ふぅん」と気の抜けた返事をした。
……強制参加で吉原とか、嫌な予感しかしないよぅ。