恋は千年、愛は万年。
側で僕らのやり取りを見ていたトシくんが石化したまま動かない。
ほら、混乱してるじゃん!!
「「「えっ、紅王様!?紅王様やぁ!!」」」
灯里さんの声に反応して、飛び出してきた遊女達に目を剥いた。
中には座敷から出て来た人もいて、“そこは戻れ!”と心の中で突っ込みを入れた。
「本物の紅王様やぁ!また戻って来てくれるん!?」
「えぇ!?ほんまに伝説が復活するの!?」
「きゃああ、紅王様ったら、お変わりなく美しい!いえ、格好いいどすわ!」
どの子も記憶にいて、皆子供から美女に変化していた。
ウンウン、可愛いね、美女だね。
すると、近くにいたトシくんが僕にすり寄ってきた遊女達に突き飛ばされる。
その人、お客様!お客様だから!
大人数に囲まれた僕は、何が何だか分からなくなった。
不味い、このままだと店が回らなくなる…っ!
お世話になった恩もあるし、迷惑はかけたくない。
僕は頭を切り替えて、スゥッと息を吸った。