恋は千年、愛は万年。
其の八
「で、アキさんは何で美女に囲まれているんですか?」
ソウ君が不満そうに頬杖をついて、僕と美女の軍団を見てくる。
そう、僕や壬生浪士組のいる座敷に芸姑が固まっているのだ。
そして、その大多数は僕にくっついて離れようとしない。
僕は引き剥がすのも面倒臭くて、シラッとしていた。
「本名、アキなんどすねぇ」
「紅王様にまた会えて嬉しいどすわ」
「紅王様、うち、可愛くなったやろ?」
適当に聞き流す僕と適当に扱われる美女を周りは凝視していて。
「うわ、アキの人気度凄すぎる…」
「悲しくなってくるぜ…っ、うぅ…!」
「新八っあん!!男だろ、泣くなぁ!!」
うん、何か聞こえてくるけど無視しよう。
美女の内一人は僕の腕に巻き付いていて、良い香りを漂わせている。
胸を押し付けるでもなく、変に顔を寄せることもせず。
嫌じゃない媚の売り方に感動する。
「アキ様、わっちと喋りまへんか」
『言葉、崩してもええ?』
「構いまへんよ」
「ずるいで、ウチも話す!」
「アタイも!」
便乗して騒ぎ出す芸姑達に僕は手を軽く叩いた。
『はいはい、邪魔になるから静かに』
「きゃあ!素顔も素敵や!」
「ほんまに惚れてしまいますわ」
何言っても、黄色い声が止まないんですが??
皆の目に僕ちゃんと映ってるんだよね??
どうにも美化されすぎている気がしてならない。