恋は千年、愛は万年。



やがて、暫し固まっていたソウ君が質問する。


「アキ、さん…男、ですよね?」


彼女は、場の空気なんて丸無視で惚れ惚れす
るように頬を両手で包み込み、話す。


「えぇ!紅王…いえ、アキ様はとってもお似合いでした」



これは拷問か??



『…っ!!やめてよ、そんな昔の話は』



あまりに恥ずかしくて赤面しながら遊女を窘めれば、ソウ君が若干引いた顔をして言った。



「女装が趣味なんですか?」

『は??』

「ビクッ」



この時の僕は、鋼の勇気があるソウ君が肩を揺らすくらいに恐ろしい顔をしていたという。


女装も何も正装だわ!

まぁ、ここ数十年は男として生きているから、そう誤解されても仕方ないけどさ。



『元々僕は用心棒がしたかったんだよ』

膨れ面で愚痴を呟く。

すると、いつから居たのかトシくんの側で酌をしていた灯里さんが僕の方を見てコロコロと笑う。


「代理で入った花魁が天職やったからねぇ」

『そこ黙らっしゃい』


僕の天職は家事です!


「アキさんの花魁姿は綺麗なんですか?」



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