恋は千年、愛は万年。
最初は引いていたソウ君だけど、事実を受け入れたのか、興味津々な顔をして灯里さんに質問する。
灯里さんは、妖しい笑みを浮かべた。
「想像してみ?
真っ白な肌に、口紅を引いて微笑むアキさん」
『灯里さん?何を言ってるのかな?』
「………」
ソウ君は黙り込んだ。
止めて、真剣に想像しないでソウ君!
灯里さんがとんでもない発言をした後、心做しか周りから変な目で見られている気がした。
まるで舐め回すような…、って、なんか気持ち悪っ。
「アキさんは、紅王さんは一晩で噂を広めましたものね」
灯里さんの思い出話という名の地獄は続いた。
『そうだっけぇ』
はて、と惚けてみたけど、効果はなく。
「紅王さんは三日目には引っ張り凧どしたわ」
女装(?)して人気得ても嬉しくないから!
鼻高々に自慢する灯里さんに、とうとう僕は悲鳴を上げ始める。
『やめて!過去を抉らないで!』
それ以上言われたら僕の心が死ぬ!死ぬから!
耳を両手で塞いで必死に聞こえないふりをする。
「アキ、アンタ偽名使ってたな?」
紅王なんて名じゃ見つかる筈もねぇ、とトシくんが恨みがましそうに見てくるけど。