恋は千年、愛は万年。


ここの主である、四十代とは思えないくらい美しく艶やかな“真姫さん”が襖を開けたのだ。


「久しぶりやね、十年経っても美しいこと。
 
 また、花魁に戻らんか?」

『結構デス』


誘いを即刻突っぱねた。

真顔で真剣に。

僕はもう花魁なんて職業には懲りている。


「つれないねぇ、中々に似合っていたのに。

 紅王がいると稼ぎになるんだが」


『後半に本音が出てますけど??』


真姫さんは紛うことなき金の亡者だ。

ズバッと突っ込んだつもりが、無視された。


「元気そうで何よりだよ。

 今夜は客として参加ならアタシを指名しないかい?」


冗談かと思う言葉を平気で言って、かつ色気を振りまく真姫さん。

僕はニッコリと微笑んだ。


『要りません』


てか僕は女だから、同性は抱かない。

さっさと断れば、真姫さんは「残念」と言い、そうは見えない顔で笑った。

からかってるなぁ、真姫さん。

上がそんなホイホイ出てくるもんじゃないでしょ。

直ぐ人のことを玩具みたいに扱ってくるんだから。


あー、疲れる。


結局、その日は壬生浪士組の各人に混乱を残しながら終った。



僕は心の中で、固く誓った。

もう二度と吉原や遊郭には行くものか!!




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