恋は千年、愛は万年。




あの後、壬生浪士組の屯所に戻ってから怒涛の質問責めにあった。

くそ、僕のはずかしい過去話が皆にバレてしまったじゃないか。


皆の記憶を消したいくらいに参った。

何回か頭を中心に殴れば忘れてくれるかなぁ??


特にトシくんやソウ君辺りにはバレたくなかったのに。


笑顔で交わしまくり、何とかやり過ごす。


しかし部屋に帰ってからも、ソウ君に尋問される。


「アキさん、吉原で抱かれたんですか?」


突拍子も無い質問を聞いた瞬間、吹き出しそうになった。


『なんて気遣いの欠片もない質問するの、君』


いつからそんな下世話な話を振る子に育ってしまったのか。

ソウ君よ、失礼すぎないか?


『抱かれるわけ無いでしょ、馬鹿』


僕はソウ君の無遠慮で無神経な発言に憤慨した。


「じゃあ何していたんですか、紅王花魁」

『僕の名前はアキだ』


しつこく食い下がるソウ君をあしらって、寝る支度をし始める。

女装の上に男に抱かれる趣味が僕にあるとでも?ないよ!!


「アキさん、アキさんは十年間何してたんですか?」


前に旅してたって言ったじゃん…。


布団の中に入って目を瞑る僕にソウ君は絡んでくる。

ちょ、揺すらないで。

今日は脳みそが飛び切り疲れているから寝かせて欲しい。



『…その話、今度じゃダメ?』


ぅーん、眠くなってきた。

ソウ君の声に寝ぼけて返したら。


「今度って、何時ですか?」


いつ…いつかなぁ。


『……んー、百年後…』

「話す気ないでしょ、アンタ」


『………』

「…チッ」


眠気に負けた僕は、怒りを顕にするソウ君の言葉を聞かずに寝落ちた。



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