恋は千年、愛は万年。



新見は、芹沢がいるであろう部屋の前で漸く僕を降ろした。

不機嫌な僕は新見の方を向かないまま、
『中に入ってこないでよ』とつっけんどんに吐き捨てた。


「分かってますよ」


愉快そうに目を細めた新見は底しれない不気味な笑顔を浮かべて去っていった。

あぁ、気持ち悪い。

先程触られた感覚は湯浴みで全て洗い流そう。


『芹沢さーん、入りますよぉ』


僕は棒読みで許可を取り、その許可が下りる前に襖を開けた。

そして、ズカズカと中へ足を踏み入れる。


中には、芹沢さんが退屈そうに台座していた。

片手には鉄扇を持っており、優雅に寛いでいるではないか。

局長なら仕事しろ、仕事ぉお!


「おい、貴様無礼だぞ」


芹沢さんは僕に不満気な流し目をよこした。

恐ろしいほどの剣幕で睨んでくるけど、こちとらもう慣れたよ。


『僕は暇じゃないんで』

冷めた目で、キッパリ言い放つ。

すると、短気な芹沢さんは青筋を立てる。


「ほぉ、儂が暇に見えるのか?」

『それ以外の何に見えるというのです?』

「斬り殺すぞ」

殺れるものなら殺ってみな!!

会って早々にバチバチと火花を散らし合う。


…って、なんか顔合わせるたびこんな会話してる気がするんだけど…。

多分天敵同士なんだろうね、僕と芹沢さん。

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