恋は千年、愛は万年。
『ご要件は何でしょうか』
スンと表情を無にして言う。
こういう相手は冷静に対応するのが一番。
出来るだけ近くには寄らないように、且つ、何時でも逃げれるように障子の側に腰を下ろす。
芹沢さんは警戒している僕に「そんなに硬くなるな」と茶化してくる。
いや、この人顔はいいけど、女垂らしまくるわ、物破壊するわ、クズだからね。
百歩譲っても不仲な上司と部下止まりよ。
信頼関係など築けるわけがない。
てか、関わりなんて最低限でいい、本当に。
私的な話とか論外だし…。
とか思っていたら。
「貴様は好きなヤツがおるか?」
遠慮なく私的な話をぶっ込んできた芹沢さん。
言ったそばから…。
頭がガンガンしてくる。
『…は、何ですかいきなり』
予想だにしない話の振られ方に困惑。
好きな人…だって?
何が悲しくて上司と恋話をしないといけないのか分からない。
不審者でも見るかのような目を向けると、「貴様は顔がいいし、経験豊富そうだしな」と顎に手をやる芹沢さん。
経験豊富とか何処見て思ったんだ?
てか、その言葉、そっくりそのままお返ししますよ。
「実は恋人の梅という女に何か贈ってやりたくてな。
貴様に意見を求めたい」
…芹沢さん、聞く相手を間違えていると思う。