恋は千年、愛は万年。
「返事しやがれ!」
無視して思考に耽けていたら、痺れを切らした連中。
頬に一発殴ろうとした男の手を難なく受け止めて、その手を捻ると男を地面に組み伏せる。
つい反射的にやってしまった。
ドンッと音がして、地面が揺れた。
手を捻ったときにゴリッと鈍い音がした気がするけど…。
あ、加減間違えた。
骨1、2本折っちゃったかも。
男の痛烈かつ無惨な悲鳴が路地に響いて反響する。
「な、んだコイツ…!?」
「ただの雑用じゃないのかよ!?」
雑用…ね、意味的には間違いではない。
“僕”は隊士じゃないからね。
『あはは、余所見してたら殺られるよぉ、お兄さん方』
僕は手をコキリと鳴らして、不敵な笑みを零す。
僕、女顔でナヨナヨしてる見た目だけど、筋力滅茶苦茶あるからね?
息を呑む彼らに僕は容赦なく鉄拳を下した。
ー…半刻後。
僕は地面に伏せて痙攣している男達の着物で血まみれの手を拭く。
タコ殴りにした手の傷は一瞬で治った。
『返り血浴びなくてよかったぁ』
万が一付いてたら大変大変。
男達は意識ないみたいだし、起きたときには忘れてるだろう。
一応念のために再起不能にした後、記憶弄っといたし大丈夫大丈夫。
『帰ろ』
早く皆の元へ帰りたい。
食料を取りに戻らなくっちゃ、と軽い足取りで路地を後にした。