【電子書籍化】最初で最後の一夜だったのに、狼公爵様の一途な愛に蕩かされました
 こうして、この騒動は幕を閉じた。

 クラークが話した通り、グレンは、みなの前でルイスが己の番であることを証明していた。
 嗅覚と聴覚を頼りにできないよう、耳と鼻に栓をされ。
 その状態で、離れた場所にいるルイスを見つけ出すことを求められた。
 ルイスが隠れる場所を指定したのは、カリーナの父であるオールステット公爵だ。
 彼はカリーナの父だから、娘の話が真実であって欲しかったし、できることなら処罰もしたくなかった。
 だから、簡単には見つけ出せない場所にルイスを隠したが、耳も鼻もろくに使えないはずのグレンに発見され。
 番を持つ獣人も、この様子なら本当に番なのだろうと話し。
 その場にいたみなが、ルイスこそがグレンの番であると認めざるを得なかった。

 みなの前で見事に番を探し出してみせたグレンの主張は、真実であったと扱われ。
 いもしないグレンを探してホテルを動き回ったカリーナは、嘘をついていたと断定された。
 二人の動きは、あまりにも違いすぎたのだ。

 東方に連れ戻されたカリーナは、これから相応の罰を受けることになるのだろう。
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