【電子書籍化】最初で最後の一夜だったのに、狼公爵様の一途な愛に蕩かされました
「カリーナの件が気になって、落ち着かない?」
「……そう、みたいです」
「……四大公爵家の獣人が、あんな嘘をついたわけだからな。謝罪だけでは済まないだろう。でも、きみが気に病むことじゃない。カリーナだってオールステット家の獣人だ。相応の罰も覚悟のうえだったはずだよ」
やり方こそ間違っていたが、カリーナは、本気でグレンに恋していた。
でも、彼女はグレンの番ではない。既に番を見つけている獣人のグレンが、彼女に心変わりすることもない。
グレンが、他の女性を見ることは絶対にない。生涯、ルイスだけを愛し続ける。
その事実に安心もするが、あったかもしれない未来を考えると、少しだけ怖くなった。
ルイスは偽物で、カリーナこそが真の番だったら。
長い時をかけて積み上げてきたものが、一瞬で壊れていたのだ。
「……獣人にとっては、夢のような話」
「ルイス?」
「ミリィたちがそう言っていた意味が、今になって理解できたような気がします。ミリィがよく、あなたに『でかした』と言う理由も」
「俺も、最初は本当に驚いたよ。きみを抱いた翌朝、番だってわかったんだから」
「っ……!」
自分からグレンに迫ったことを思い出したルイスが、ぷるぷると震えながら頬を染めた。
「あの、その日の話は、ちょっと……!」
「はは、ごめんごめん」
「悪いと思ってる感じがしないです!」
むう、とルイスは下からグレンを睨みつける。
身長差があるため、どうしても見上げることになってしまうのだ。
彼は、面白そうに笑いながら、ぽんぽんとルイスの頭に触れた。
余計にむううっとなるルイスだったが、おどけた様子だった彼の雰囲気が、すっと変わったことに気が付く。
青い瞳は愛おしそうに細められ、じっとルイスをとらえた。
子供をあやすように頭に触れていた手は、ルイスの柔らかな金糸を優しく撫で始める。
「……一夜の思い出にならなくて、本当によかった」
「……私も、そう思います」
グレンがルイスの頬に触れ、少し屈んだことを合図に、ルイスも背伸びをする。
二人の唇が、重なった。
「……そう、みたいです」
「……四大公爵家の獣人が、あんな嘘をついたわけだからな。謝罪だけでは済まないだろう。でも、きみが気に病むことじゃない。カリーナだってオールステット家の獣人だ。相応の罰も覚悟のうえだったはずだよ」
やり方こそ間違っていたが、カリーナは、本気でグレンに恋していた。
でも、彼女はグレンの番ではない。既に番を見つけている獣人のグレンが、彼女に心変わりすることもない。
グレンが、他の女性を見ることは絶対にない。生涯、ルイスだけを愛し続ける。
その事実に安心もするが、あったかもしれない未来を考えると、少しだけ怖くなった。
ルイスは偽物で、カリーナこそが真の番だったら。
長い時をかけて積み上げてきたものが、一瞬で壊れていたのだ。
「……獣人にとっては、夢のような話」
「ルイス?」
「ミリィたちがそう言っていた意味が、今になって理解できたような気がします。ミリィがよく、あなたに『でかした』と言う理由も」
「俺も、最初は本当に驚いたよ。きみを抱いた翌朝、番だってわかったんだから」
「っ……!」
自分からグレンに迫ったことを思い出したルイスが、ぷるぷると震えながら頬を染めた。
「あの、その日の話は、ちょっと……!」
「はは、ごめんごめん」
「悪いと思ってる感じがしないです!」
むう、とルイスは下からグレンを睨みつける。
身長差があるため、どうしても見上げることになってしまうのだ。
彼は、面白そうに笑いながら、ぽんぽんとルイスの頭に触れた。
余計にむううっとなるルイスだったが、おどけた様子だった彼の雰囲気が、すっと変わったことに気が付く。
青い瞳は愛おしそうに細められ、じっとルイスをとらえた。
子供をあやすように頭に触れていた手は、ルイスの柔らかな金糸を優しく撫で始める。
「……一夜の思い出にならなくて、本当によかった」
「……私も、そう思います」
グレンがルイスの頬に触れ、少し屈んだことを合図に、ルイスも背伸びをする。
二人の唇が、重なった。