ただ愛おしく。
高校三年生、将来に悩み暮れ、絶望の道か、快楽と笑顔が待つ未来になるのかを選択を迫られる時。
窓の外は霧雨が降り注ぎ、校庭の砂を泥化させた。
頬杖をつきながら横目に外を眺めていると
「こら宮島、授業に集中しろ」
教科書の裏でポンっと頭を叩かれた。
「あっ、すいません」
ノートに向かっていない生徒以外は、僕の方を見ている。
じっと、じっと。
恥ずかしがる様に下を向いて、唇を引っ込めた僕は目を泳がせた。
暑い。