ただ愛おしく。


普段使っている校舎の隣には、使われていない廃校舎がある。


幽霊が出るという噂があって誰も近付かない。

そんな好都合な理由があるからか


僕はいつも、長い休み時間があれば連れてこられ、沢山殴られる。




酷ければ財布を盗まれ、翌日の朝机の上に中身が空になった財布がポツンと置いてある事がある。


それもまた、慣れてしまった。



涙が止まり、身体の自由が効く様になった頃には既に五時間目が始まっていた。

割れた窓の隙間から外を覗くと、体育の授業をやっているクラスが。



サボってしまったな、と思いながらもう一度身体を横にした僕は目を瞑る。



今戻っても怒られるだけ。


それに付けられた痣や傷を隠すのも面倒臭い。


かと言って、そのままの状態で行けば、明日あの二人に何をされるのか分からない。



ならば最善策として、ここで時間を潰すのが一番良いのだ。




雨上がりの校庭はとても使いにくいだろう。


同情するよ、全ての感情に。



心から。




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