麻衣ロード、そのイカレた軌跡⑧/発熱の果実たち、迷宮へ…!
龍虎、第2章へ…/その11
ケイコ


ふう‥

昨夜はなんか、異境に行ってきたみたいだったな

相馬豹一か…

感性自体は麻衣と一緒なんだろうけど、漠然とでも死期を意識してると、やはり見えてくるものが同じでも、”鮮度”は全く違うんだろうな…

...


迷宮…

相馬さんからこの言葉を聞いたあの後…

「…会長、お聞きします。先ほどここへ向かう車の中で、剣崎さんから伺ったところ、あなたは御病気を抱えられてるそうですが、あのう…そのう…、ええと…」

「どうした、いいんだぞ、はっきり聞いて…」

「…はあ、あの、…なんとなくでも、ご自分の死期を予測していらっしゃいますか?…ああ、すいません、変なこと伺って」

私は無意識に頭を下げてた…


...


「…ケイコ、よくそこへ目が行ったな」

「じゃあ、会長さんは…」

「…ああ、まぶたを閉じると棺桶が見えるわ(苦笑)。ケイコ、お前がなぜそんなこと聞いてきたかはわかる。だから、はっきり言おう。…あくまでも俺の予感だが、それは1年ってとこだ。まあ、その辺りで検討つけてればいい…」

相馬さんはちょっと笑みを浮かべながら、そう答えていたんだ

私には、どこか清々しい表情にも見えた

...



「いいか、ケイコ。…クスリはお前らが南玉連合を引退か高校を卒業した時、若しくは俺が死んじまった時点で辞めるんだ。麻衣と一緒に…。俺の見ている”光景”ってのは、例え俺が死んじまってようが、おそらくその時点のものだろうな」

1年…、いや、1年後だ、概ねは

相馬さんが抱いてる当面の”光景”は…

”そこ”に死を覚悟した最後の到達点を定めた相馬さんは、私を麻衣と切磋琢磨させることで、そこでの望む”光景”を導き出せると感じてる

昨夜、あの人と1時間話してそれがわかった

なぞが解けたところまでには至らないが、何故私にこんな大それた決断ができたか…

なんとなくだが、”それ”の納得が得られたような気がしたよ

そして、その決断の向こう側は”迷宮”だということらしい…




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