麻衣ロード、そのイカレた軌跡⑧/発熱の果実たち、迷宮へ…!
龍虎、第2章へ…/その12
ケイコ




その日の夜…

「よう、ケイちゃん。忙しいところすまんね」

「いえ、よろしくお願いします」

「まあ、乗んなよ」

「はい。では、失礼します…」

「ああ、車ん中だけど、紹介しよう。西咲学院の先輩で、私の番格を後見してくれてる五條先輩だよ。先輩、この子が今話題の横田競子ですよ」

「やあ、横田さん、初めまして。五條です。今日は送迎の運転手だ。よろしく…」

「はじめまして、横田です。今日はお世話になります」

夜6時ちょっと前に家の近くまで迎えに来てもらって、私は荒子さんと先輩の車でベッツに向かった

...


「じゃあ、7時半前にはここに戻ってる」

「先輩、すんません。よろしくお願いします」

着いた…、ここがベッツか

「あのう…、荒子さん。ひょっとして、今日は誰か立ち合い人とかがいらっしゃるんですかね?」

「うん、まあな…。とにかく中入ればわかる」

松葉つえ姿の荒子さんは、なんともさわやかな笑みを浮かべてそう言ってね…

「はい…」

とにかく、今夜は二人きりではなさそうだ

だとすると、一体誰なんだろう、立ち合う人って…

...


「さあ、行くぞ」

「はい…」

松葉杖をついた荒子さんを先導して私は店のドアを開け、荒子さんを先に招き入れた

「こんちわー」

荒子さんの大きな声が店の奥に向かって響いた

すると奥からから女の人の声が帰ってきた

「荒子か…?おお、よく来たね。さあ、中どうぞ…」

「奥さん、お久しぶりです」

「いやあ、なんか大変だったね、今回は。足、大丈夫か?」

「ええ、来週にはギブス外せますから。…ああ、この子、横田競子です。ケイちゃん、こちら、黒原吹子さんだ」

うわ…、いきなり黒原未亡人が登場か…






< 11 / 54 >

この作品をシェア

pagetop