麻衣ロード、そのイカレた軌跡⑧/発熱の果実たち、迷宮へ…!

第1部/ファーストレジェンド ー第29章/ネオフレームへー

ネオフレームへー その1
ケイコ


さあ、ここで前段は終わりだ

「なにしろ再編に向けた激震は終わったんだから、要はこの後よ。なんだかんだ言っても、これからのフレームはやはり南玉次第になる。都県境の巷は荒子の一挙一動に注目してるしね。メンバーも激減した南玉を一体どんな体制に立て直すのか、聞かせてもらいましょうか」

「はい。では…」

荒子さんは姿勢を正した

...


今回の一連の騒動で従来のフレームは見た目、大きく崩れていないようではあるが、実のところは根底がひっくり返ったに等しい

従来の南玉-紅組ラインが主流で、それを一部の少数・フリー勢力がオポジションとして散在するという構図はもはや通用しえない土壌になったのは疑う余地がないよ

何と言っても、岩本真樹子が主導するレディーキャビネットが無視できない規模に膨らみつつあることが最大の要因だよね

新たに猛りだした多くの少女たちをじゃんじゃん取り込み、この枠組はいわゆる寄り合い所帯、寄せ集めの色合いが強い

ただし、ハンパない数が見込めそうなので、一歩間違えば都県境が無法地帯化する可能性がある

その統制は岩本が取れても、進むべき方向性がしっかり定まっていないと、節度や歯止めが失われた際、とんでもない暴走を引き起こし兼ねないって

ただし、この都県境の軸となって行くのはやはり南玉連合以外にない

そこで、南玉連合がキャビネット側とどんな関係を構築していくかが重要ポイントになる

...


それは黒原さんと波沢さんも承知してるところだ

岩本とは太いパイプを持つお二人は、大局を見据えた前提なら、南玉との仲立ちを適宜買って出てくれる意欲は持っておられるはずだし…

それにはまず、ボロボロの状態に陥ったと言っていい南玉連合のネクストステップがしっかりしてるかどうかがカギになるよね、当然…

そこで、南玉総長の荒子さんが考える新生南玉の具体像、そして新たなフレームでの都県境をどんな方向に持っていこうとしているのか…

お二人は荒子総長に鋭い視線を向け、その発する言葉を待っていた


...


「なるほど、2派分けか…。確かに今回の騒動で大幅に人員が減ったけど、今後の流れは今までの部外者が大挙してこっちの世界に飛び込んでくる方向なのは間違いないし、単純に数だけ増やすなら、そう難しいことじゃなくなるよな」

「そうですね。要は受け皿として見据える方向性にマッチした組織つくりなら、キャビネットとの付き合い方次第では、コントロールが効くってことが言えますかね」

「うん。特に1年だけで編成して2年が旧来のOGスタンスで目を光らせるチェック体制はさ、今の時勢を汲んだ組織の若返りも含有してるしね。界隈の少女たちにもさ、南玉は変わったと映るだろうよ、きっと…」

荒子さんの南玉内における組織再編成案には、黒原さんも波沢さんももろ手を挙げて賛同のようだった

「それで、まず各校側グループはそんな新たに目覚めた少女たち…、極端な話、バイクもケンかも無縁のような女の子を受け入れる”器”として持って行くつもりです。こっちのリーダーには、この横田競子になってもらおうと思ってるんですが、どうでしょうかね?」

ここで出たか…

私は思わず下向いちゃったよ



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