麻衣ロード、そのイカレた軌跡⑧/発熱の果実たち、迷宮へ…!
ネオフレーム/その5
ケイコ



「…そう。横田さんも相和会の会長さんから、麻衣と”同条件”ってことでね…。それをあなたも承知したと…」

この人が、相馬会長と私達二人の女子高生間でどんな密約を交わされたかまでは知り得ないはずだ

でも、コトの本質っていうか、相和会の会長が自らの遠縁の娘に仕立てるまでして私たちに”力”を授け、その結果で何が導き出されるか…

そんなところが、黒原さんには見えているように感じたんだ

そして、黒原吹子さんはおもむろにこう切り出したよ

「…相馬さんさあ、健康状態が思わしくないって聞いてるんだけど、実際どうだった?」

まさか、こんな質問が黒原さんの口から飛び出すなんて思いもしなかったから、ちょっとあっけにとられちゃった

...


「…私からはそんなに体調が深刻には見えませんでした。でも、会長さんはご自身でええと…、それなりに…」

私は黒原さんの知り得たい本心が測りかねていたので、どこまでしゃべっていいのか迷ってね

そしたら、すかさずこう切り返してきた

「あの人達の業界じゃあ、持病を抱え芳しくない。そう長くないかもってのが定説になってるようだよ。ひょっとして、自分の死期に関して口にしてなかったかな?」

それはズバリと尋ねられた

「…それらしいことは話してましたが、実際は冗談かもしれません。でも、黒原さん、それが何か…」

私は咄嗟だったけど、気になったことを逆に聞いていた

そしたら…

「荒子なんかはピンとこないかもしれないけど、仮に相馬豹一が他界したらさ、私たちの世界にも少なからず影響が及ぶよ。それは、他ならぬ相馬さんが誰より自覚してるはずだ。となれば、自分の死期を大まかに想定できててだよ…、この期に麻衣と横田さんに”関与”したことって…、それなりの意味を持つということ…」

「…」

荒子さんは私の顔を向いて、きょとんとしていたよ

一体どういうことなのかってとこだろう…

だけど私には、思い当たる節がすぐに頭に浮かんだんだ





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