麻衣ロード、そのイカレた軌跡⑧/発熱の果実たち、迷宮へ…!
龍虎、第2章へ…/その5
剣崎


「ケイコ…、君は麻衣と相馬会長が同じ死生観を持ってると見てるんだな?」

「何となくですけど、そうです」

「そうだとして、それが君にどう跳ね返ってくると捉えているんだ?」

「…もし、会長さんが病でさっき言った状況であれば、麻衣に私をぶつけるのは、ただあの麻衣をもっと燃えさせてって興味だけではどうかなって気がするんです。それ以外にもっと深いものがあって然るべきかなって。そう思いませんか、剣崎さんは?」

恐れ入った…

この横田競子って子は、本当に16の女子高生なのか…!


...


俺はすぐに先日、権力側のお偉いさんとのゴルフから帰って会長と交わした会話が脳裏に浮かんだ

あの時、会長は麻衣にケイコを絡ませた結果生じるであろう”光景”を、おぼろげながら告げてくれた

そうだよ、会長には自分がそう長くないと自覚しているが故、麻衣とケイコが交わることによって麻衣がどこまで行き着くのか、その興味はもちろんあるが、今の健康状態の会長は、更にその先に目が行っていたんだ

この子を俺が川原から連れ、会長に引き合わせた結果、あの人は、まだまだ”底”が見えない麻衣に当てる相手としてのケイコが、何をもたらすかを予期できたんだ

麻衣とケイコで、”あそこ”まで持っていけるだろうと…

それは、春に麻衣と出会った当初に予想していたものを、大きく超えるものだったのでないか

まさしく死期が近い最後の挑戦にふさわしいと…

会長は身震いしていたかもな…

キーワードは、猛る女、ガキ、星流会と東龍会、そして会長が仕込んだあの”怪しい”クスリ…

相馬豹一の見立てでは、それらはこれから始まる麻衣とケイコの対峙第2章の過程を経て、おのずと一つにつながるだろうということではないのか…!?




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